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必然性の原理とは、それを生み出した自然と社会の環境であり、その条件・前提である。その根源であり、基底であり、背景であり、そのもとで祖先が生まれ形成されてきた、現実の地平を意味している。意識とか思考以前の、生理的で感覚的な情緒といったものである。これが人間を動かし、人間を支配している。 そしてそれは、実際には自分自身の「感覚の感覚」として映し出され、現れて来る。感じられるし、意識もされてくる。自分自身の無意識の世界の中から、なんの脈絡もなしに浮かんでくるのである。それがつまり、意識以前の世界、「感覚の感覚」の世界なのである。意識とは別の所で、意識を無視して自分の肉体が、感覚の生理作用として記憶している世界である。 そうした忘れられ、失われていた無意識の感覚の記憶が、なにかの弾(はず)みでふっと目ざめるのである。心のなかの、わけのわからない空白の底からふっと、浮かび上がってくるのである。あるいは同じ事だが、心のなかの果てしないかなたから、ふわふわ、ひらひらと落ちて来て、自分のまわりを漂い始めるのである。そして目ざめ支配し始めるのである。 |
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