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しろ色は、この春の情景の、背景の生地(きじ)であり、色やニオイや音の、そして肌ざわりといった、それら自分の感覚のすべてのあいだにあって、それを伝え、はこんでくる実体なのである。 それは、暖かくおだやかな春の陽光と、柔らかくふっくらした空気中の、水の色なのである。それは生命が生まれ現れ出る場面であると共に、自分自身のめざめと再生の生地であり背景なのである。 暗く何もない世界から、白さというのが明るさとして何かを映しだしている。そしてこの明るさが、背景となって世界を支配してゆく。暗さとは、潜在(ネガ)と沈潜、内向きであり、そして閉じた無意識の世界である。明るさとは、顕在(ポジ)と昇華、外向きであり、そして開いた意識の世界である。 そうしたことが、空気の白さ、非常にうすくて淡い空気の白さとして表現されている。春の陽光と白い空気の色に誘われて、自分の中で何かが映し出され、そして自分の外へ現れ出ようとしている。 |
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