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| また、生まれたばかりの植物は、水分を多く含んでいて、半ば光を透かしていている。少し半透明である。少し離れて見ると、カスミの中で、それが背景の空の色に同化して、輪郭や境界線といったものが、半分消えている。遠くの山々や野原の輪郭が薄くなって途切れ途切れに消えて、輪郭の中の模様や色だけがめだって見える。そしてそれが、丸みを帯びたように見えてくるのである。 白い背景のなかで輪郭があいまいなまま、ぼやけて薄くなっている。そうした世界のなかから、色の鮮やかさだけが浮かび上がってきて、せまってくるのである。それは、まるでハダカのヌードである。目に見える外面を透かして通り越して、中身の内面がそのまま外に現れている。そんな感じなのである。 外面が消えて、内面がそのまま外にあふれ出ている。無邪気で、開けっ広げで、大らかで、ふっくらしていて、軽くふわふわと浮かんでいる感じである。目に見える外見というのを無視して、内面の心の中というのが、そのまま溢れ出た感じなのである。 もしかすると生まれたばかりの生命は、外面というのを持たないのかも知れない。自らを守る防御壁とか警戒心というのが弱いのかも知れない。だから、いつもオドオドしていて、とまどい、ためらい、動揺していて、恐れ慄き、あるいはワクワクしたり、ときめいたりするのである。 |
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