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8、条件。



そして、この変化の動力となっているのが、自己同一であり続ける固有の内的な原理と、その必然性なのである。そしてこの必然性といったものが、いったいどこからやって来るかと言えば、それが「風土」なのである。背景であり、下地であり、生地なのである。条件であり、前提であり、そしてこれが人間にとっての空間的・歴史的現実なのである。

自然環境と人間自身は、精神の世界で明確に区別されてはいない。未だ情緒の世界から抜け出ることのない世界なのである。そしてそれは、人間関係でもそのまま現れている。

肉体はカタチとして区別されても、精神はいまだ、共同体と対立する個人として意識されないままの状態である。個の精神は、共同体とは別のものとして自立することがないのである。精神はいまだ、自己と他者が区別されることなく、混沌として混じり合っている状態なのである。


戻る。             続く。

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