index < 日誌 < ar象徴 < 「象徴の世界」p10/ |
しかしこのシロい霧も、2,3時間もするとキレイに晴れる。そしてこの霧というのが、もっと、もっと非常に薄くなって、ほぼ一日中、または昼過ぎまでずっと続くのがカスミ(霞)なのである。地表面だけでなく天空全体をうすシロく、覆い尽くすのである。 だから地平線上の白い部分と天空の青い部分のグラデーション(濃淡)が消えて、地平も天空の色もあまり変わらない。ほとんどシロ色なのである。それは、地表面から水蒸気が常に上昇し続けているということなのである。だから、世界全体がシロっぽく見えるし、それが昼を過ぎても消えることがないのである。 空気中の水蒸気が霧よりも非常に薄く、そして日中の太陽光自体が明るく、そうしたことが目に見える風景というのを、かえって普段よりも明るく感じさせている。 白いカスミが乱反射をくり返す「光」といったものから、光の方向性が曖昧になって影を失い、まるで、「光」そのものの中に景色が映し出されたように見えるのである。遠くのものも近くのものも、世界全体が薄くシロ色が混じっている。それは、空気の白さであって、これが世界全体を覆っているのである。 そして、その中を人間がただよいながら、時間の流れの中をうつろいでいる。これが情緒のあり方というものである。知らぬ間に、意識することなく、いつの間にかその中に自分が入り込んでいて、溶け込んで、いっしょになって、現実の中をただよっているのである。 |
index < 日誌 < ar象徴 < 「象徴の世界」p10/