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2、秘密。



確かに、この世には公然の秘密がある。それはどうにもならないことであって、仮にそれが、どうにかなるものであれば、隠(かく)す必要もないのである。どうにもならない以上、それは隠し続けなければならないし、見ても聞いても触れても、ならないことなのである。

仮に、それを知ったとしても、知っていると思ってはならないのである。また、だれに向かっても、それを知っていると表明してもならないのである。誰もがそれを知っている、公然の秘密であると分かっていてもそうなのでる。反対に、誰もがそれを知っているからこそ、断じて隠し続けなけばならないものなのである。

見えていても、見てはならないし、見たと思ってもならないのである。見なかったことにするしかないのである。そして実際、見えているものも、いつの間にか自分の目には見えなくなってしまっている。それが感じられなくなっていて、そしてそれが当たり前で、普通のことのように思えて来るのである。


戻る。             続く。

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