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5、空気。



支配と秩序といったものが法的関係として、あなたと私の関係として成り立つのではない。あなたと私という区別が消滅したところに成り立っている。しかし、正確に言うと、区別が生成される以前の、いまだ区別の存在しない世界なのである。

だから、法的関係とか、何らかの約束とか、強制としてではなく、かといって自発的なものでもなく、それら以前のごく自然な成り行きとして、始めからあったものとして、自然なあり方として秩序が成り立っている。人間関係がそうである。親子、および「首領様」に対する関係がそうである。

つまり、情緒であり、気分とか気持ち、雰囲気とか空気である。それ以外のものにはなり得ないし、そうした変化のない、始めからあったものの続きでしかない社会である。

これが、だれにとっても、もっとも納得しやすい社会のあり方なのである。個というのが集団の中で溶けて、理没している。区別そのものが、個として存在しない世界なのである。


戻る。            続く。

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