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暑さ寒さというのは、気温の無機的な数値で表される。しかし実際には、気温だけで暑さ寒さを表現するのは不十分であり、はてしのない誤解である。というのは、現実に熱を奪い、あるいは運んでくるのは、空気中の水分、つまり、湿気だからである。 気温の上で温度が高い、あるいは低くても、湿気がなければ熱として感じられるのは直接の輻射熱だけである。対流と伝導は主に空気が運んでくる。より正確には、空気の中の湿気(水)が運んでくる。 熱とは、質(温度) × 量(水分) なのである。質(温度)だけが高くても何の意味もないのである。量(湿気)があって始めて現実の熱として感じられるのである。 だからそうしたことが、アフリカや中東の砂漠地方よりも、日本の夏が蒸し暑く、息苦しく感じられるのである。それは感覚的というよりも、生理的・情緒的な息苦しさである。 あるいは、北海道に住んでた人が兵庫県(本州)に来て、寒く感じるといったことが起こる。気温自体は北海道よりも高いのであるが、湿気が多いために、寒さというのが直に肌に迫って来て、底冷えするのである。 こうしたことは銭湯で、気温は高いが乾燥している「サウナ」よりも、「ミスト」の方が暑く感じられることがある、ということからも理解できる。 |