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| 感覚や気質・気性、情緒といったものもそうである。それらは、こうした日本の風土と密接に関係した切り離せないものなのである。もちろん、それは始めからそうなのではない。様々雑多な思考錯誤がくり返される過程で、こうした傾向だけが残ったということなのである。だから、それはある意味では、日本という風土と自然がもたらした必然と言えるものなのである。 そしてまた、これが日本という歴史的で空間的な現実の中で、人間というのが自分を意識する場面となっている。それは歴史とか社会というよりも、自然という物理的な変化が強く影響しているように思える。 だからまた、考え方や行動パターンは、実際的・現実的・直接的である。考えるより先に行動している。そして行動しながら考え始めている。こうした自然との関係が、日本の自意識の際立つ特徴のように思えてくるのである。日本人の自意識、自己認識の主要な場面になっているように、思えてくるのである。 たしかに自然が大きく影響している。湿気の多い日本の気候がそうなのである。人間の情緒に強く影響し、そしてそれを規制し続けている。湿気（空気中の水分）というのは気持ちの中で持続するもので、気分的な切り替えというのに多少とも時間がかかるのである。 ただ感覚的な暑さ寒さだけでなく、それが体内にしみ込んでくる感じなのである。そして身体の一部になって、中から自分自身に迫ってくる。感覚というよりも、情感的な感受性なのである。気分や心情といったものである。感覚の感じ方や、その表し方に独自のリズムのようなものをもたらしている。これが、気温と結びついた湿気の、情緒的な表れ方である。湿気というのが、人間の感覚を通して「情緒」として現れている。 |