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3、陰影の質感。



また、肉体内部の筋肉や血管というものが、ほとんど肉体の表面で凹凸を作らず、現れず、素肌というのが男のようなむきだしの生物のようにではなくて、何かの底なしに柔らかいクッションのように思えてくる。実際なだらかで柔らかい。見ているだけで触れるような感触なのである。

肌表面のぼやけた感じのキメの細かい脂肪質の、やわらかい感じのツヤが、見るものをして優しく包み込まれるような感じをうけるのである。光の反射が散漫なのもそうだ。だれに対しても等しく開いて見せている。相手を選ばないのである。

それらがおだやかで優しく、見る者をして肉体のその向こう側にある、
精神の世界へといざなうのである。そして、このおだやかさとは、女性特有の肉体表面の陰影なのである。肉体表面の光と陰が織りなす、グラデーションの世界なのである。ゆるく、優しく穏やかに開いていて、そして包みこんでゆく陰影の質感なのである。

何もないのに迫って来て包み込み、そして溶けて入り込んでくる。そうして自分と他人の境界が無くなって、ぼやけて行き交い錯綜し、入り乱れて、気づくと、もはや自分も相手も同じ閉じた、自分たちだけの小さな世界の中にいる。自分が誰かわからなくなって、まるで別人のように思えてくる。いつのまにか自分が非日常の非現実の、空想の世界に迷いこんでいる。


 戻る。              続く。

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