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2、闇の中。



それは自分自身の心の奥底で、それがイメージとなって映し出されたものなのである。自殺指向が、哀れで恨めしそうな人影となって現れているのである。何もあるはずの無い、ものかげや暗がりの中で。それがじっと僕を見つめ続けているように思えてくるのである。

感じられもするし、実際そういう気配がするし、チラリと一瞬ホントに見えたりもする。もちろんそれは、幻覚や錯覚というものだろうけれども、「見える」というのも僕にとってみれば、ホントの現実なのである。疲れで神経が錯乱し精神も病んでいるのかも知れない。

たしかにその通りで、僕を見つめ続けているのは、僕の背中にいるもう一人のぼく自身であって、自分というのが分裂したもう一人の自分自身の姿なのである。普段は隠れて見えず、気づかず、気にもならない、もう一人の自分。沈潜し、潜在し、心の奥の闇の中からいつも僕を見つめ続けている、もう一人の自分なのである。

このように考えると、幻覚やマボロシ、夢の中の異様な世界、オバケや亡霊たちの世界が、実に筋の通ったマジメな出来事として納得もされるし、理解も、了解も出来るのである。なるほどと。

たしかに亡霊やオバケたちの世界は、人間の空想が作り出した、まやかしと迷いの世界に過ぎないのであって、自分の迷いや憂い、叫びや戸惑い、衝撃や苦しさといったものが、自分自身では耐えきることが出来ずに、現実をまともに見ることが恐ろしくて、偽りや言い逃れで、無いものを見たと思い込んでいるだけなのかも知れない。


戻る。              続く。

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