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4、不可解。



実に白々(しらじら)しく、わざとらしい、ヘキエキウンザリしまくりの、ただそれだけの、なにから何まですべてが取ってつけて、ムリヤリ意味づけられ、つじつまを合わせたような世界。現実から抜け落ちた、人間の頭の中の空想だけで作り上げられた、幻の世界のように思えてくるのである。

現実と、それを理解しようとする意識がどこかで食い違っている。断絶していて、現実を何か別のものと勘違いしている。現実を見失っている。現実をとらえる肉体の感覚と、それを理解し意味づける頭の中の思考とが一致していないのである。ズレて、ヌケて、いつも不可解な異和感を感じるのである。

本来、切り離されることなく、一体としてあるはずの感覚と思考とが、どこかで切断されていて、切り離されて、分裂している。そして、それに誰も気づいていない。だから現実に対して不思議な異和感と、言い知れぬ底無しの疑惑と、わざとらしさ、しらじらしさを感じてしまうのである。

自己の一体性といったものが損(そこ)なわれている。自己の内的同一性といったものが、自分が自分であるといったことが、確かめられずにいる。自分が見つけられずにいる。自分が見えて来ない。自分がだれかわからなくなってしまう。自分がだれか他人のように思えてくるのである。


戻る。             続く。

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