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3、未知の領域。



そうした、自分をつつんでいる曖昧(あいまい)で、ぼやけて、カタチが常に揺れ動いて、混沌とした、とらえどころのない外の世界との関係性。あるいはまた、他者と自分とが入り混じって錯綜し、明確に区別も識別もできない、ぼやけてボンヤリした領域。自己と他者との間のあまりに不明瞭な領域。

それは何かと言えば、それは自分の意識も届くことのない、自分自身の感じ方や感受性というものなのである。自分自身を規制し方向づけている未知の領域、意識されることのない暗黙の強制力、自分自身というものの感覚や意識の生れ出る、始まりの場所なのである。

それは、固有の内発的な必然性でもあって、特殊な傾向とパターンといったものを形成している。個性といったものがそうである。そして、それがまた例えば、民族の特徴的な情緒や心の持ち方、気分やその感じ方、そしてその生き方と生活の根源的な拠り所となっているのである。

つまり、そうやって人間は、自分で自分を理由づけし、納得し、了解するのである。そうした考え方や、感じ方の土台であって、それを包(つつ)んでいるのが、その民族集団特有の情緒や気分の在り方なのである。気質や気性といったものなのである。

そうしたことがまた、自分自身の中にあって、自分ではどうにもならない無意識の世界であって、自分の中にあって自分の意識が届くことのない、わけのわからない未知の領域を形成しているのである。


戻る。              続く。

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