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6、必然。



どういうことかというと、感じ方や考え方、それに感情といったものが、まわりの人々と違うのである。ということは、世間のオキテや常識とは必ずしも一致しない人間だということである。世の中のシステムやルールと違う原理、異質で異なる別の世界を生きているのである。だからまた、体制の中で正直に生きている人間から見ると、非常に怪しい人間に見えるのである。

それが善いとか悪いとか、正しいとか間違っているとか、そんなことはどうでもよいことなのだ。肝心なこと、最も重要なことは、世の中を支配しているシステムの原理と一致しているか、どうかなのである。

そして、この原理と異なる異質な原理を生きているというところが、周りのみんなとどこか違う、わけのわからない、何を考えているのかわからない人間のように見えるのである。そうして、自分のすべてが否定され、現実世界の中で生きて行く方法を失う。就学・就職から排除される。

世間のみんなとは違う世界を生きるように求められる。表立っては言わないけれども、それを求め、仕向け、暗示し、誘導される。そうやって生きて行くしかないように求められる。

しかしまた、こういう人間が新しい時代の原理、人間にとっての新たな存在理由といったものを生み出してゆくのである。まことに致し方なく、そうするのである。異質な世界を生きる、異質な人間にとってみれば、そうせざるを得ないのである。そうするしかないのである。それ以外に生きて行く方法がないのである。

それは不幸の源(みなもと)、生きていることの不幸、限りない底なしの不幸と言えるものなのかも知れないが、そうするしかないのである。それ以外にないのである。それが彼にとっての残された唯一の、生きている理由とならざるを得ないのである。それは必然なのである。


戻る。              続く。

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