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3、バランス。



それは言わば、遠い祖先の、何万何億年前からの祖先の記憶を見ているのである。それは、自分で自分の精神と肉体の中を見ているのである。光の色相と明暗が反転して見える現象、つまり、残像現象がそれである。補色とか対色とも言われている。

それはむしろ、感覚のバランスなのであって、そして、それ以上に精神の調和とバランス、精神の本来のあり方のもっとも安定した状態を示している。もっとも安らぎ、落ち着き、ここちよい状態、そうした自分にとっての精神のあり方、情緒の世界を見ているのである。

そしてこのバランスこそが私たち自身の中にある、ある種の内的必然性であり、そしてまた、それが指向するところなのである。さらに、こうした指向性が、外の自然環境のなかで条件付けられたのが、方向性なのである。

それは、本人が望むと望まざるとに関係なく、そうするしかないもの、そうせざるを得ないものであり、そしてまた、そうしてのみ生き続けることが出来たということなのである。これが「方向性」なのである。そしてまた、これを外から全体として見ると、バランスであり、調和であり、安定なのである。あるいはまた、生存競争とも言われているものなのである。


戻る。              続く。

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