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2、オキテ。



しかし、こうしたことは何も深刻に考えたり悩んだりする問題ではない。そうではなくて、これが社会にとってみれば正常な状態なのである。そうであるべき普通の状態なのである。社会が正常に機能しているという証明なのである。これこそが社会にとっての、システムの存在理由であり、存続の条件であり、そしてその保障なのである。

しかし、どのように考えても、白が黒に見えたり、1コが10コに見えたりするのはオカシイし、そんなことあるはずがない。白はどこまでも白で、黒であるはずがない。しかしまた、だからこそ、それは黒なのである。そしてまた、まさしくこれこそが社会のシステムなのである。

そうであるしか無いのである。偽りと偽善で大衆を導いて行くしかないのである。大衆自身がそれを望み、それ以外の生き方を知らないのである。他に生きて行く方法を知らないのである。そしてまた、それを知る必要のない社会で生きているのである。

これが、このシステムの存在の意義であり、理由であり、正当性なのである。だからやはり、白でも黒く見えてしまうのである。そのように見えなければならないのである。それは無言の絶対的な強制力なのである。そしてこれこそが、こうした社会の前提なのである。暗黙の決め事であり、オキテなのである。

もしかすると、これが国家と文明の起源なのかも知れない。人間を集団として見ると、他人にすがって生きて行こうとする人間が大多数で、つまり、支配されようとするのであり、そうである以上、嫌でも支配せざるを得ないのであって、暗黙の絶対的な強制力が必要にならざるを得ないのである。

死ぬも生きるも、自分の事を他人が決めてくれるのである。これほど楽なことはないのである。たとえ肉体が死ぬほどエライ目にあったとしても、それ以上、生きなければならない理由もないし、また、自分の肉体自体が自分のものではないので、深刻に苦しむこともないのである。これほど楽な生き方はないのである。


戻る。              続く。

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