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| しかし、正直に言わなければならない。美しいのは、やはり美しいのだと。世界中のだれもが反対しても、自分が美しいと感じたのであれば、「美しい」と言わなければならない。しかし、それはいったい何のことなのだろう？ いったい何を見て僕は美しいと感じたのだろうか。それが、そのわけというのが、わからなくなるのである。自分でもわからないのである。 女の顔という外見（がいけん）から、僕はたぶん、なにか別のものを見ているのだ。現実の目の前のものとは別の、何かを感じ連想し、それとは別のものを見ているのだ。妄想は一人ごとであって、夢の世界である。しかし相手がいて初めてそれがストーリーになり、物語となって記憶にのこるのである。だからそれは、予感され、どこかで暗示もされ、そしてそれが現実の出来事として現れて来なければならないのである。 女のすがたカタチ、そして顔の表情が、僕にはそれと別の、何か他のものを象徴し印象させているのである。空想の世界に生き、空想の世界を見ているのである。しかし、この別のものとは何か？ 実は、それが何かが分からずに、もどかしくイラつき、しゃくにさわり、悩んでしまうのである。 それが何かは分からないけれども、他の言い方をすると、それは僕にとっての祈りであり、願いであり、そしてまた求め、のぞんだものなのである。そうした、自分にとって深く信じるものが、女の顔にその象徴として見ているのではないだろうか。だとすると、それは僕にとっての思い込みと偏見の世界である。あるいは何か普遍的で永遠な何かを感じているのだ。 |