index < 日誌 < p変異< 「必然性」p4/ |
それは、意識の中で自覚するのではなくて、生きているという自分の存在そのものが自分を否定している。本当の自分というのが、なにか別の生き物のように、他人のようになってしまっている、そう思えてくるのである。 もっと正確に言うと、思うのではなくて、そうした気配を感じるのであって、僕の意識ではなくて、僕の肉体と僕の生き方、僕を包む空気が僕を否定しているのである。 僕の感覚と存在そのものが、なにか僕を現実世界とは異質な別世界の住人のように、僕にかかわって来て、離れて行くのである。現実というのが、まるで異人種とか異国人のように、僕を排除してゆくのである。自分が分からなくなる。自分がいて、何かをしていて、そして自分が生きている、そうした自分が分からなくなるのである。 僕はだれなのかと問わざるを得ない。僕を包む現実の中で、僕が消えて失われてゆく。自分自身というのが忘れられて、僕の精神が他人に乗っ取られて、僕が僕で無くなって行く。そんな気がしてくるのである。 |