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2、感覚。



以上は、感情の世界の話であるが、それと同じことが感覚の世界でも起こっている。例えば、熱い、痛い、まぶしい、冷たいなどという感覚は、外の世界との直接的で完結した関係であり、二者択一の世界である。それぞれが独立した単一の感覚として感じられている。熱いは触覚、まぶしいは視覚で、それぞれが独立して完結しているのである。

ところが例えば、おだやかとか、心地よいとか、優しい、気持ち悪いなどといった感覚は、自分の外の世界との関係ではあるが、同時にそれ以上に、自分の中の内的な感覚でもある。自分の感覚が、感覚に対して何かを感じているということである。

なおかつ、気持ち悪いとか、心地良いというのは、様々な感覚が入り混じって出来上がった複合的なもの、つまり、自分の内部で整理され織り合わされ、編集された感覚なのである。その意味で、内面的な感覚であって、自己の内部に対する感覚である。感覚の感覚に対する感覚である。

そして実は、このことが非常に大事なのである。それは、人間と動物が区別される分岐点なのである。もちろん、動物にだってそういう感覚がある。要は人間の場合、それが特に著しいということなのである。


戻る。           続く。

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