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「何か」とは自分でもよく分からない、自分の中にある眠ったままの、いまだカタチにまで至っていない、得体の知れない衝動である。自分の中で何かを求め、何かを欲し、そして祈り、願い、昇って行くのである。そうするしかなく、それ以外に自分を思い出す方法がないのである。 このままじっとしていると、自分が消えてしまう。自分が失われてしまう。そう思えてきて、どうにもならず、外へと出て行くのである。それ以外に自分を確める方法がないのである。だから、いままでの自分を振り切って捨ててまでも、自分の外へ出て行くのである。見知らぬ、リスクだらけの未知の世界へと。 僕は、眠っていたのである。外の世界に対してかたく身を閉ざして、自分だけの孤独な世界の中で夢を見て、眠り続けていたのである。反対に言うと、目覚める以外になかったのである。めざめる以外に自分を救う方法がなかったのである。 めざめのキッカケとか理由といったものは、どんなことでも、なんでもよく、ただ「目覚める」という以外になかったのである。 |