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4、ノイズ。



もちろん、天使以外に妖精もいて、悪霊だっている。それら訳の分からない者たちがてんこ盛りになって、僕を見つめ続けているのである。でも、そんなのは要らない。僕が欲しいのは天使だけなのだ。天使だけが見えていてくれれば良いのである。

そしてそれは、実のところ、僕の気持ちの持ち方次第と言える。そうやって、美しく、優しく、憧れに満ちた世界だけを生きるのである。自分の中にある欲望や、よこしまな気持ちを捨てて、永遠の憧れに生きるのである。そうすると天使が見えるのである。

願いが、カタチやシルエットとなって見えてくるのである。現実に無いのに、見えるワケがないのに、見えてくるのである。つまり、現実に無いものを自分の目の中で見ているのである。自分の目の中の記憶として。あるいは幻や錯覚として見ているのである。目を開いたままで夢を見ているのである。それが見えてくるのである。

自分自身の生理作用の流れや神経の不具合なノイズが、なにかの気配やささやき、あるいはシルエットのように感じられてきて、それが目の中で映っているのである。ノイズとなった途切れ途切れの不連続な境界線が、何かの影の輪郭線のように思えてきて、そしてそれが合わさり、重なって、目の中を漂い、さ迷いながら、ひらひらと移ってゆくのである。


戻る。            続く。

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