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天使が見えるのはほんの一瞬である。まばたきするくらいの、0.03秒くらいの、ほんの一瞬である。この一瞬の間にすべてが見えるのである。まばゆい光の中に天使がいて、永遠の憧れの世界が見えるのである。あるいは、「見えた」と思っている。 確かに人間というのは、なにか目に物が当たったときとか、事故でケガをして気を失う寸前とか、あるいはまた、強い精神的ショックを受けて立ちくらみがしたり、めまいがしたり、気を失ったり、倒れそうになることもある。そしてその瞬間、その寸前に何かを「見た」と思うことがある。 めまいのするような、まばゆい光の中で何かが見えたと思えてくるのである。天使のようなものが見えたと思えてならないのである。永遠の世界である。それが0.03秒という意味なのである。 実はこの0.03秒というのは人間の目には、ほとんど何も見えないのである。そういう目眩(めまい)のするような、まばゆい瞬間なのである。だから、何かが見えたというのは、人間にはわからないし、気づくということもあまりなく、また、それがいったい何だったのかというのは、見ている本人にも分からないのである。あるいは、もしかすると、見えるはずのないものなのである。 そういう微妙であやゆい瞬間なのである。それでも、しかし、それがいったい何だったのかは分からないけれども、確かに何かを見たということだけは分かるのである。それが、0.03秒という短い瞬間なのである。それは人間の感覚を超えた世界、または、人間の目の感覚能力ギリギリの世界、あるいは、そのどちらでもない、意識と現実が入り混じり錯綜した別の世界、瞬間的で突発的、そして予測不可能な異空間なのである。 |