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4、キッカケ。



間接光だけだと、光が映し出す物体表面の陰影が弱く、そして落とす影もなく、輪郭がはっきりせず、表面の模様も薄く消えていて、個性といったものが閉じて眠っているように見える。

実際、影が無いということは、物体内部においても変化の方向性がないということである。いつでも、どこでも、どこからでも、無差別均等に変化して行く、ということはつまり方向性が無いということなのである。時間の流れの中で見てもそうだし、空間的な位置関係から見ても、やはり、変化というものに「方向性」が認められないのである。

他の言い方をすれば、現実から切断された、内閉的で、閉じこもった自分の主観だけの世界だということである。外からの衝撃が無いということである。外からの影響といったものが均一で均質であり続けるというのは、自分自身を省みるキッカケも場面も無いということなのである。変化のキッカケがつかめず、また変化の場面といったものが極めてあいまいなのである。

戻る。              続く。

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