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ぼんやりした精神の内面を見ている感じがしてくるのである。というのは、光に方向性がないからである。例えば、人間の目に視線がないのと同じである。何を目指し、どこへ向かっているのかわからないのである。知りようもなく、確かめようもないのである。自分が生きている目的も理由も曖昧(あいまい)なままなのである。定めようがないのである。 世界全体がのっぺりしていて、平坦で、奥行きがなく、薄っぺらで、輪郭もはっきりせず、実在感にとぼしく、まるで何もかもが手抜きされた夢の世界のように、ぼんやりしているのである。まるで無意識の世界の、自分の意識が届かない世界のように思えてくるのである。まるで夢の中で眠ったままのような感じなのである。現実を生きているという感じがしないのである。これが間接光の世界である。 夜の星明りの世界がそうである。月明りにしたってそうで、たしかに弱い幻のような影が見えるのであるが、なにか作り物、イミテーションのように思えてならないのである。非現実の、人間の空想だけで作り出された偽りと「まやかし」、ニセモノの世界のように思えてくるのである。 |
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