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光に方向がないということは、それは「光の中」ということであって、景色とそれを見ている私との関係は常に直接的で同時的関係である。私が景色を見ていると同時に、景色が私を見ている。私もまた景色から見られている。そうした関係である。 私もまた、景色と同じで、「光の中」から出るということがないのである。自分の外の世界に気づくことも、見ることも、知ることもないのである。時間が止まって、どこへ行くアテもない世界を漂っているのに過ぎないのである。 自分と現実の区別がなく、自分勝手で思いのまま、偶然と思いつき、気まぐれと、その場その時の気分だけで生きている。将来への何の目標や目的もなく、その場その時の気分だけが支配する世界である。要するに現実から切り離された、閉じた自分だけの世界、自分という主観だけが支配する世界、時間が止まった世界である。 こういうのを、見果てぬ理想郷というのかも知れない。ウソと偽善だけが支配する世界である。自分たちの中から見ると正義なのかも知れないが、外からながめてみると、やはり偽善でしかないのである。 |
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