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| あるいは、それは正面ではなくて背面なのかも知れないのである。そうした正面も背面も、表も裏も、前進も後退もない世界。昨日も明日もない世界。それが現実との、直接的で同時的な関係なのである。外から自分というのを見ることのない世界である。現実と自分が向かい合ったままで、自分を客観的に見ることのない世界なのである。 それは、自分で自分を見るということのない世界である。自分を反省したり、自分自身を意識したりすることのない世界である。そうしたキッカケや場面のない世界である。やはりそれは内面的で閉じた、ひとりぼっちの主観だけの世界である。外の世界を知らず、知る必要もなく、知ることもできない、どこまで行っても孤独で内向的な閉じた世界である。 だからまた、どんなことでも出来るし、何にでもなれるし、どうにでもなる世界である。そしてまた同時に、何一つどうにもならず、思い通りにならない、どうにもならない世界である。なぜならそれは、現実との接点を欠いているからである。非現実の観念だけの世界だからである。 |
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