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間接光の世界とは、光に外からの方向性がなくて、いつでも、どこでも、どこから見ても、その方向性といったものが見えない世界である。つまり、光はどの方向へも向いているのであって、どこから見てもそれは、自分と世界との直接的で同時的な関係であって、幻想的で、閉じた一人ぼっちの空想の世界である。非現実の観念と主観だけの世界である。 夜の月明りの世界のように、いつまでたっても目覚めるということがないのである。外の世界との接点のない、だからまた、自分がなにをしていて、なにをしようとし、どこへ向かっているのか確かめることの出来ない世界なのである。 光に影がなく、映し出される世界に正面も背面もなく、表も裏も、前進も後退もない。そして進歩も衰退も、生も死もない。永遠に混沌としたままの、とらえどころのない、同じことをくり返し続ける、本当の意味での変化のない世界である。 これでは時間の概念が成り立たない。時間的に、歴史的に見るということが無意味になってしまう。また歴史的に見ること自体が不可能である。なにも理解されず、とらえられず、ものの本質といったものが見えることがないからである。そうした方向性なしに論理的思考は成り立たないのである。自分と世界との客観的なつながりがどこかで途切れていて、見えて来ないのである。 |
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