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6、境界。



だから何か不思議な異和感を覚えるのである。いつも見慣れているはずの風景が、なぜか作りものの、現実でない印象を受けるのである。偽りの、未知の、異次元の、見知らぬ世界のように思えて来るのである。

それは月夜の下のうすぼんやりした情景だったり、濃いキリの中から浮かんで来る人影であったり、あるいは、風も影も光もぼんやりした「エデンの園」、夢か幻の空想の世界だったりもするのである。

しかし、それはやはり偽(いつわ)りで、作りものの世界でしかないのである。潜在的で沈んだままの、閉じて、隠れた精神の世界であって、あらわで明瞭な、開いた現実の世界へとでて行くしかないのである。

「直接光」は、明瞭な自分の外からの光であって、時間の経過に伴う明確な方向性を持っている。そしてこの方向性が消えて、外と内との境界が見えなくなったのが「間接光」の世界なのである。

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