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2、光。



夏の情景の特徴として、コントラスト(明暗)の強さと、色の濃さが上げられる。色が濃く見えるのは色に黒色が混じっているからで、なぜ、そうなるのかは分からないが大気中の湿度・水蒸気が多いからかも知れない。

事実、湿度の多い日や雨上がりの直後、あるいは雨が降った直後の景色の物体表面は確かに何もかもが濃く見える。。物体は濡れると濃く見えるし、濡れていなくても空気が湿気ているだけでもやはり少し色が濃く見える。

あるいはもしかすると、夏の光のコントラストの強さが、そのように見せているのかも知れない。だから景色の輪郭が非常にクッキリと見える。またその輪郭線がにじんで太く見えるのは湿度、すなわち空気中の水蒸気が影響している。

人間の目にとって夏の光は強烈でコントラストの上と下、つまり真っ白と真っ黒の部分がつぶれる。「白飛び」・「緑陰」ともいう。このつぶれた白と黒の明暗が風景の輪郭をハッキリと見せるとともに、色そのものを鮮やかにしているのかも知れない。

またこのコントラストを別にしても、たしかに夏の世界は生気に満ち満ちていて、空も、山も、野原も、それぞれが強く自己主張していて、自分の存在の色を強烈に映し出している。

またもしかすると、夏の空気そのものがもつ湿気(水)が、夏の世界の情景というのを鮮やかな色の濃い、生気の満ちたものにしているのかも知れない。あるいはまた、日本の夏の地表面の不飽和水蒸気ゼロの状態が、風景と人間との間にあるカスミを取り払っているのかも知れない。

コントラストとは光の明暗であり、鮮やかとは色のの鋭さであり、そしてグラデーション(濃淡)とは、陰影の濃淡の移りゆく変化のようすを指している。これが夏の生き物たちの世界である。


 戻る。             続く。

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