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自分の中から、生きているという理由を失ってしまう。自分と社会とのつながりや、心の良心や、希望や願いといったものが、すべて無意味なものになってしまう。自分が生きている理由や原理といったもの、その存在の必然性といったものが、どこかで根本的に変わってしまっているのである。消えて、失ってしまったのである。そうして自分というのがまったく無意味な存在になっているのである。そのように思えてくるのである。 だから、それが何よりも恐ろしいのである。だからまた、それを見ても見てないフリをするし、知らなかったように、努めて自分から進んでそうするのである。そうやって、何もかもうまく納(おさ)まるのである。最大多数の最大幸福とはこのことであって、そうやって、より大規模で取り返しのつかない、より完全な不幸を準備して行くのである。 だからまた、それはだれもが知らぬ間に、気づかいないままで進行していて、そしていつの間にか、自分たちが変わってしまっていることに気づくのである。そして、何ごともなかったように歴史としてそれを学ぶのである。そうして理解された、と教えられるのである。本当は少しも理解されず、知らず、気づきもせず、わからないままなのであるが・・・。 そうなのだ。本当のことは誰も知ってはならないのである。知らない方が良いのっだる。私たちは、こうした偽善と迷信の世界を生きている。これがシアワセというものなのだ。そしてまさしく、これが幸福で理想的な社会なのである。 |