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3、カタチ。



このような自分自身の中にある、得体の知れない恐れや「おびえ」、ふるえや叫び、あるいは底無しの恐怖といったもの、自分で自分に悩み苦しんでいる。しかしそれは、自分だけの世界なのである。

自分自身の中にある何かにおびえ、恐れ、悩み苦しんでいる。そして、ためらい、戸惑い、困惑している。それがいったい何なのか自分でもわからないのである。しかし、まさにそれこそが、自分自身の真実の世界なのである。

そうやって自分を見つめ、確かめ、問い続けているのである。しかし正に、これこそが自分の真実の世界なのであって、かけがえのない自分が自分であることの証明なのである。

しかし、このような自分の中にある底無しの苦しみや悩みといったもの、恐れ、怯え、叫びといったもの。そうしたことは、不定期に繰り返される感情の起伏、生理作用の破裂と破断とでもいったもので、それはそれで深く苦しんだりもするのであるが、時間の経過によっていずれ消えて忘れられて行くものである。だから、残しておかなければならないのである。記憶として。

自分の記憶の中で何らかの「カタチ」として残しておかなければならないものなのである。そうしないと、大事なもの、自分にとって最も大切なものが失われて行くのである。知らぬ間に、気づかないままで消えてゆく。

だからメモし、記録して自分の心の中で整理し、自分にとっての意味や理由として、自分自身の感覚や感受性の傾向として、自分自身の記憶に残るカタチにして残しておかなければならないのである。それが自分自身の、真実のすがたなのだから。自分だけの、本当の自分の姿なのである。

戻る。            続く。


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