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1、正直。



目に見える現実の世界を透過して、僕は、彼女のタマシイの世界に直接入り込もうとしていたのである。これはとっても失礼なことで、非常識で、あってはならないことで、許されないことなのである。プライバシーとか人権の侵害なのである。

しかし、そんなことはどうでもよい。会社をクビになって収入を絶たれてもかまわない。どうなってもかまわない。僕は確かにそれを見たと、そう信じたのである。だから、たとえ死んでもかまわない。死んでもなお、さがし求めなければならないものがそこにあると、そう思えたのである。

しかし、そんなもの無いだろう。そんなものあるはずがない。そして無いことは始めからわかっている。しかし、僕にはそれが見えたし、そうである以上、あると思えたのである。「ある」と思わなければならないのである。

これは、それが事実であるかどうかではなくて、信じなければならないことなのである。どうしても、どんなことをしても守り、そして求め、見つけなければならないことなのである。

そんなもの、この世の中にあるわけがない。絶対にない。しかし、それがあると感じられ、見たと思えた以上、それが無いとわかっていても、どうあっても、それへと突き進むしかないのである。進まなければならないのである。これは理性や科学ではなくて、個人の良心や信仰の問題なのである。

そうしなければならず、僕にはそれ以外の自分というのがなく、それが僕のすべてであって、正直でありのままの自分の本当のすがたなのである。また、そうやってのみ僕は救われ、自分を見失わずに済むのである。

履歴へ            続く。


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