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いま思い返してみると、もともと僕はそうだったのだと思えてくる。もの心が付く前からそうだった。現実に対してどこか異和感みたいなものがあって、いつまでたっても現実に溶け込めず、なじめないままでオトナになってしまった。 いまもそうである。現実がどこか白々しく、わざとらしく思えてきて、作り物のウソの、ニセモノのように思えてくるのである。自分がそれに、本当に溶け込むということがなかったのである。 しかし、いま考えてみると、それは誰もがみんなそうなのであって、ただ、まわりに合わせているだけなのである。そしてそれが不思議なことで、異和感を感じさせるもので、まして、疑いを抱かせるものだとは誰も思わないのである。まわりの誰もがそうだから。だからそれは当然のことで、守らなければならない常識のように思えてくるのである。 |