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たぶん、僕のこうした生き方が、職場の彼女の後ろすがたに何か言い知れぬ、避けることも、逃げることもできない、自分の意思ではもはやどうにもならない、異常なまでの執着と関心を呼び起こしたのである。 まるで、僕自身の心の中を見ている思いがしてならなかったのである。だから、無視できず、逃げることもできず、自分でもどうにもならず、引きずり込まれていったのである。 自分というのが、それに向かって生きて行くしかないように思われたのである。選択の余地とか迷いなどあり得なかった。実際、僕にはそれしかなく、それ以外になにもなかったのである。それにしかなりようがなかったのである。 それが僕のすべてで、ありのままの正直な僕のすがただったのである。それは僕にとってみれば、唯一の現実への扉だったのである。孤独な暗闇の中で仰ぎ見る、唯一の灯(ともしび)だったのである。 |