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「群れ」 |
5、自意識。
それどころか、このような自己意識は、 それ自体が何か悪いことのように思われている。 日本人の感覚からいうと、自分自身よりも、 周りの集団の合意がなによりも優先される。 ひとことでいうと、「集団の和」だけである。 自分自身とか、個という概念は、このような 日本の原理に反することなのである。 だからまた、自分の考えというのが、いつも簡単に変わる。 いさぎよいというか、あざやかというか、無節操というか、 迎合する傾向が著しい。迎合しない場合でも、 それに対抗して自立するということがなく、むしろ反対に、 ゴネて、食い下がって、まとわりつくことによって、 自分を守ろうとする。逆らって争うこともない。 争うのは自分よりも弱い立場の者に対してだけである。 誤解してはならない。 これは逆らっているように見えるかも知れないが、 そうではない。これは実は、ゆすって、たかって、 脅しているのである。逆らう側も、逆らわれる側も 要するに同じ「仲間」なのである。分け前を よこせと脅しているのである。 |