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3、求め。



だから僕は何かを求めさがし続けたし、いつでも、どこでもそうであり続けた。ものカゲや暗がり、あるいは春の陽光のあおぎ見る空のかなたに何かを求め、見つけようとしていたのだ。なにげない日々の暮らしの中で、自分がいま生きているこの現実の中で、それを見つけようとしていたのである。そうするしか無かったのである。

なにげない、ありふれた日々の暮らしの情景の中。通り道や、毎日見ているドアや、建物や、壁や、窓や、木立の中や山影。あるいは、暮れなずむ夕日のかなたや、朝の陽光のまばゆい光の中。

あるいはまた、まぶしく反射する水面や、景色の反射面の中に。そしてまた、風の音や、そよぐ枝葉の波打つ情景の中に、何かを見つけ、そして「見た」と思えてきてならなかったのである。

実際その通りで、僕は何かをずっと、ずっと見つめていたのである。現実にはない何かを。自分自身の無意識の世界にある象徴と印象の世界を、現実の世界の中に見ていたのである。

戻る。            続く。


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