index< 日誌< as同一性< 「種の意味」p3/


 
3、個性。



もともと自分の中に何かがなければ、新たに何かが始まるということはないのである。そしてまた、それが歴史上の数々の文明が滅んでいった理由なのである。文明が危機に際して自らを変革する必要に迫られながらも、変革の必然性そのものを自分の中に持たなかったのである。

自分の中のどこを探しても、変革をせざるを得ない理由といったものが見つけることが出来なかったということである。これが、その「何か」であり、自己の存在の必然性なのである。

それは生命をなくした存在であり、種としての存在の必然性を喪失しているのであって、そしてそれがまた、個性なのであって、新たな時代との相性が悪かったのであり、時代に適合し得ない個性だったということである。どんな時代にも適合し得る個性などないのであって、だからまた、それが個性だと言えるのである。

しかし、そうは言っても、現実は歴史であり時代なのであって、現実は時間と共に変化してゆくのであって、そしてまた、その中で自己の存在の必然性の意味も、自己が意図するものとは無関係に、自らを無視して、違った意味を持ってくるのである。

かつて何の意味も持たなかったものが、時代の変化とともに切実で重大な意味を持つものとして求められて来る、といったこともめずらしくないのである。だから、そうした意味では文明の盛衰は偶然とも言えるし、やむを得ないこととも言える。

戻る。            履歴へ


index < 日誌 < as同一性< 「種の意味」p3/