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| しかし、こうしたことが正に、正常な状態なのであって、社会にとってのバランスといったものなのである。 だれもが、もともと何か自分にとって最も大切なものを欠けたままの状態で、この世に生まれてくるのであって、だからまた、それをさがし求めざるを得ず、それが宿命なのであり、自分にとっての人生の課題となっているのである。 しかしまた、だからこそ社会として成り立ち得るのであって、必要な存在になるのであって、そしてまた、それが個性とも言えるし、自己の同一性や、自分が生きていることの理由や、なくてはならない自分自身の必然性となっているのである。 なぜなら、それは自分自身の中にあって、自分で見つけ、自分で獲得して行くしかないものだからである。自分にしかないもの、自分が自分であることの証明となっているからである。 |
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