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1、かすみ。



初春。キリとかカスミで、風景がかすんで見えるのは、大気中に不飽和水蒸気があるからで、いくら水蒸気が多くても、夏の高温下で飽和していれば、風景がかすんで見えることはない。

春に風景がかすんで見えるのは、いまだ大気の気温が低く、昼夜の温度差が著しく、そして夜露(よつゆ)と雪解け水が、直射日光によって蒸発して、水分というのが大気に供給され続けるからである。

水蒸気が日中の気温の上昇によって飽和されるよりも、供給されるのが多いからである。これがキリとかカスミ(霞)の正体である。従ってまた、春のカスミはたいてい午前中のみで、そうした日の午後はたいていカラリと晴れる。

早春から初夏にかけては晴天が多く、霞(かすみ)が地表面から天空へと空全体を覆っている。コントラストが白い色の方へと傾いている。空気そのものが不飽和水蒸気を多く含んでいて白っぽく見えるのである。これが、春カスミである。

ただし、それは地表面近くにおいてのみである。少し上空へ昇ると、水蒸気は飽和されて大気はカラリと晴れている。それは、朝方、山の頂上から下を眺めると、山の下側、山麓部分が一様に白く、薄い雲に広く覆われているのが見られる。

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