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霧より薄く、靄(もや)よりも濃い水蒸気が世界を包む。非常に、非常に薄い雲が、空と地上全体を覆うのである。水蒸気が多いと言っても、湿気が多いというのではない。 要は、大気の温度が未だ低く、大気が水蒸気を吸収できないでいるのである。だから水蒸気は、上へ上へと昇っていって、飽和水蒸気となって、地表部分だけが白いモヤに包まれているのである。 地上の世界が、非常に薄い雲の中の世界へと変化する。このうす雲の中で光が拡散をくりかえし、ぼやけて、ぼんやりした影と陰影が限りなく薄く消えて行って、そうして白いカスミが世界全体を覆(おお)う。 晴天の日の早朝にカスミが多いのは、放射冷却によって地表面の気温が下がり、それだけ霧が発生しやすくなる。だから反対に濃いキリの日は、たいてい雲一つない晴天の日となる。 |
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