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3、水の色。



しろ色。それは水の色である。それも気体化したカスミ(水蒸気)の色である。それは、夏の高温下で飽和され尽された、ただ蒸し熱いというだけの、厚かましく、おせっかいで、ふてぶてしく、自分勝手で、それでいて、ふやけて、だらけた、そんな夏の「黄色」ではない。

あるいは冬のような、透明で、閉じて、沈んで、ひきこもったような、そんな「青色」でもない。かといって、うすい「灰色」混じりの秋の風景のような、まるで祭りの後のような、暮れなずむ夕日に闇が迫るような、そんな内省と追憶の世界でもない。

閉じた世界がゆるんできて、そして開いて、そこから何かが始まり、何かが生まれ出る、そんな予感と期待が交錯する、そんな春の空気の「色」である。それが「しろ色」なのである。祈り、願い、あこがれ、夢見るような色である。そしてまさしく、情緒的にもそうなのである。意識を無視して、自分の肉体がそれを直接感じているのである。

戻る。            続く。



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