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2、かすみ。



風景がかすんで見える。
うすぼんやりとしていて、はっきり見えない。特に輪郭の内部がそうである。景色のおおよその輪郭だけが薄ぼんやりと見えて来て、その内側にある景色の表面の模様や明るさの明暗が消えている。

かすんで見えるのは、周りを取り囲んでいる霧やカスミによる、光の乱反射・半透過・回り込みが原因である。

それが夜だと、薄暗くなって色が消えて、輪郭線が少しぼやけて、輪郭線で囲まれた表面だけがくっきりと周りから浮かんでくる。表面には何もない、ただ全体として何も見えず暗い影となっている。色はほとんど消えていて明るさのコントラスト(陰影)も平坦である。まるで夢の世界を見ているうような、なにかしら現実感のない世界である。

それが昼だと、キリは晴れてやがてカスミとなる。夜の濃い闇に替わって白くて明るい水蒸気のカスミが輪郭線を包む。カスミとは、薄い霧のことである。輪郭線はやはりあいまいであるが、その表面はくっきりと映し出されている。カスミの白い背景の中から表面がうすぼんやりした陰のシルエットとなって景色が映し出されている。

表面の凹凸や模様はカスミの中でうすぼんやりと消えている。のっぺりしていて平坦な感じで色もほとんど消えている。全体として変化のないぼやけた陰(かげ)の濃淡だけで、表面が映しだされている。

現実感に乏しく変化と動きのない、まるで夜の月明かりの下や夢の中の世界のような、そんな半分眠っているような、そんな無意識の世界である。


 戻る。             続く。

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