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おもしろいのは、キリとかカスミが映し出す風景の浮かんでくるような印象である。それはつまり、キリとカスミが光を乱反射させているのである。光が乱反射し回り込む光が、ものの輪郭線をぼかしているのである。 にもかかわらず、ぼかされた境界線の中の本体部分だけが近くにあって、クッキリと色鮮やかに見えているのである。これは夢の中の世界がそうである。見える表面的な外見や体裁を無視して、ものの本質的な内面だけが浮かび上がってきている。まず内面があって、それが見える世界を描きだしているのである。 ものとものとの間にあった境界線が消えて、それらを映し出していたカタチだけの外面といったものが透明になって、かすんでぼかされていって、精神は他者たる相手の内面の世界を直接のぞき込んでいる。。 いままで境界線で拒絶されていた精神の内部世界が直接見えてくる。自分というのが精神の内面をとらえて、それを直接見つめている。自分の感覚が相手の精神をとらえて、それを直接見ている。 しかしそれは、そのように思えてくるというだけの思い込みと偏見の世界、錯覚と妄想の世界なのである。つまり、目を開いたまま現実の世界のなかで、一人ぼっちの夢を見ているのである。偏見と一人よがりな自分勝手なだけの妄想を見ているのである。 |
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