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2、傾向。


現実の肉体のない人間など存在しない。人間は、自分の肉体を否定しては生きて行けないのである。馴(な)れや習性、そしてそれ以前の肉体の生理や反射作用の特性、そしてそのクセや傾向といったものがそうなのである。

そこからまた、人間にとってみれば、自分でもどうにもならず、どうしようもなく、逆らうことも避けることもできない、そうした自分自身の身体が持つ、傾向や方向性といったものに縛りつけられて行くのである。

そうしたことが、個人や民族、あるいは国民の個性や特性を規定しているのである。そしてまた、こうしたことが個人が個人として、あるいは、民族が民族としての特性の根源にあるのではないだろうか。

そして、これがまた、人間にとっての無意識の世界を支配しているのではないだろうか。自分でも意識されることのない、無意識の背景にあるのではないだろうか。

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