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5、現実の世界。


自分が、かつてどこかで見たり、聞いたり、感じたりしたことを基にして、そこから何かを表現してゆくしかないのである。またそれが、空想や想像の下地にもなっているのである。それ以外の創造の仕方といったものを、人間は持ち合わせていないのである。

だからまた、それが人間にとって未知の得体の知れないものであれば、何か不可解で錯綜し混乱したイメージで表現されたり、現れてくるのである。

たとえば、夢の中の世界がそうであるし、前衛のワケのわからない芸術作品がそうなのである。そうやってしか人間は、自分を表現する方法を知らず、そうしてのみ、自分を表現し得るのである。

それが自分たちの表現の道でもあるし、自分たちの限界であり、枠(わく)の中であり、自分たちが現実に生きている世界なのであり、制約であり、前提でもあり、条件なのである。そうした中でのみ、それが人間にとっての現実であり得るのである。

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