index < 日誌 < 2018 < 四季。<18-37「冬の空」 |
季節によって空気の質もかなり違う。匂いとノイズ、それにカスミ方が違う。 夏のニオイとは生物の有機物の匂いであって、くさったような、なにかが充満していて溢れてくるようなニオイである。遠くのの景色も、空気中のチリが多くて少しノイズがまじる。空気中のチリとニオイは、生物の活動の結果なのである。 生命の充満する世界が、遠くの景色を非常に薄い黄色の空気を透かして見ている。大気中のチリや有機物を、波長の長い暖色系の色が透かして回り込んで、人間の目に入って来るのである。これが湿気と温度がもたらす「蒸し暑さ」の、生き物たちの世界である。充満し横溢する生物の世界である。 なんともやりきれなく、どうにもならず、かといってじっとしていられない。感情的で衝動的な世界である。つまり精神は外を向いている。 冬にはニオイがない。生命が活動を休んでいるからである。無機質な世界であって、無味乾燥なニオイのない世界である。空気も非常に澄んでいる。ノイズがない。空気の色は非常に薄い青で、落ち着いた沈潜するような、理知的で内向的な色である。 このような世界では、進んで何かを積極的にやろうという気がしない。それに出来ない。冬の世界は無機質である。生き物の何もかもが眠ったままである。情熱も感情も押し殺されたままで外に出てくることがない。行動的・積極的・外向的というよりも、内向的で静かな時間が止まったような世界である。 |
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