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2、海。



逆に言うと、自分というのを意識する場面といったものが、それしかない。だからまた、ときおり思い出したように中国大陸の方へ目を向ける。まるで眠りから覚めたかのように。何か得体の知れない無意識の世界に強制されて突き動かされるかのように。

ユーラシアの中国大陸から見ると、日本たる自分はヨソ者・部外者であるにも関わらず、大陸という世界の当事者たらんとするのである。一時的で瞬間的な「幻」のようなものである。三度、大陸へ侵攻したけれども、かつて一度も現実のものとなることがなかった。瞬間的な「白日夢」終わっている。

日本という島に帰ってくると、大陸での出来事はまるで夢の世界、他人事のように知らぬ顔で忘れることが出来る。そうした海という囲いで守られた、閉じた世界である。

そこには、目に見える明確な境界線がある。海である。そして、歴史的・空間的・文化的に均質化し固定した島の日本人と、流動化し多様性をこととする変化に富む外の大陸の世界が対置される。

そしてこれを、へだてるものとしての海が日本人をして、自分たちというのを意識し区別させる。この区切り線、このへだてる境界線を対称軸として自分自身を、そして外の世界を見ているのである。


 戻る。             続く。

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