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3、現れ。

こうしたことが気づかれないまま人間を包んでいて、人間を支配する条件となっている。それは、人間同士が交流するための条件であるとともに、自分と他者を区別する境界線であり、限界であり、壁(かべ)ともなっているのである。

しかしまた、そうしてのみ人間は自分を意識し得るのである。自分が他者と区別され、自己の精神といったものが自分でも感じられ、意識もされてくるのである。それが自分の精神の構造であり、その動きなのである。それは、人間の精神の見えざるカタチなのである。

中世イタリア・ルネッサンスにおいて追求され続けられた、人体の彫像や絵画に見られる人間のヌードといったものは、このような人間精神の表現なのである。人間は自分の肉体を通してしか、また、こうした自分の現実を通してしか、自分自身を表現し得ないのである。



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