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いまだ自分と他人とが区別される前の世界である。ぼんやりしていて曖昧で、なにもかもがカタチをなさず現れたり消えたりし続ける、そうしたぼんやりした、とらえどころのない「まだら」模様の世界である。なにかがカタチとして現れて表現される以前の、どこまで行っても曖昧なままの世界なのである。 夢の中がそうである。 ぼくが生まれてくる前の、母の胎盤の中がそうだったのかも知れない。 あるいは、遠い遠い昔の祖先の、ぼくがまだサカナだったころの気性が、いまのぼくの肉体のカタチの中に残っていて、それが僕をして、そう思わせているのかも知れない。 そうした、時間と空間の概念が成り立たないような世界、何も永遠に変わることがない世界である。そうしたことが何かのきっかけで、ふと、思い出されてくるのである。言葉ではなくて、身体の感触として。頭脳ではなくて、肉体の記憶としてそうなのである。 |