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2、モットー。



さらにまた、ここに生きる人々は先祖伝来からずっとそのままで、同じ子孫が同じ場所でずっと同じような暮らしをして生きてきたのである。数百数千年そうであり続けたのである。だとしたら、さっきも言ったように、それぞれの人間が今生きているそれぞれの場所で、ずっと同じように生きてゆくしかなかったのである。

そしてそれを当然のこととして生きるようにシツケられてきたのである。数百数千年ずっとそうであり続けたのである。それ以外になく、またそれだけが自分たちが生きて行く方法であり続けたのである。それだけが、この閉じた島の世界で自分を見い出すことが出来たのである。

そうしたなかで、自分を見つけ発見できる限りなく自由で無限の世界として、物作りの世界に引き込まれてゆくのである。それ以外に自分を見つける場所がないのである。場所とは空間のことであり、そしてこの狭い島の中に目一杯の人々がひしめき合って暮らしているのである。

日本は狭く、波風を立てず、協調と和をモットーとしていて、またそうせざるを得ず、個人というのが集団から出てくることがない。だから、そうした個の発見と表出の場所が物作りの世界となっているのである。だからまたウソのない良い製品ができるのである。

それは売るためというよりも、自己のプライドとステータスの世界なのである。経済人というよりも、それ以前に生業であり職人なのである。そしてそれが自意識でありアイデンティティーとなっている。また、自分を確かめるものとしては、それしか無いのである。


 戻る。              続く。

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